認知症を患っている家族と付き合っていくうえで、
実はとっても大事な
「ものごとのとらえ方」があります。

それは、

「事実」について、どうとらえるか、考えるか、ということ。


専門的にいえば、

認知症患者を介護する上で、
介護者が知っておくべき2つの原則というのが存在するのですが、
それは何だと思いますか?

① 本人の記憶になければ、
本人にとっては「事実ではない」ということ。

② 本人が思ったことは、
本人にとっては絶対的な「事実」であること


これって、文字にしてしまうと簡単ですが、
実は結構 凄いこと、をいっています。


つまり、
「認知症患者が、どう認識し、どう感じているか
どう記憶しているか」が大事であり、
それが 彼らにとっての「事実」である、ということ。


これって、要するに
「客観的事実」がどうであるか、よりも、彼らにとっての「事実」のほうが、
優先される、ってことですよね。


私たち家族が認識する「事実」は、
彼らにとってはあまり意味のないもの、
彼らとのかかわりの中では通用しないもの、ってこと。


当然、
家族は混乱しちゃいますね。


というか、ちえひめは 
このことが理解できるようになるまでに
随分混乱しました・・(笑)。


だって、私たちにとっては、
「客観的事実」が全てなのに、

認知症のお義母さんとのかかわりにおいては、
彼女の思い込みやカン違い、間違った記憶だったり、
幻聴・幻覚を交えた世界を、

「事実」である、と
認めてあげなきゃ始まらない訳だから。


そこにはいろんな思いが渦巻きます。
家族にとって、それは簡単なことじゃないですね。


でもまあ、確かに、

本人に記憶がないことを
いくらこちらで説明しても理解は出来ないし、


彼らの言ってることが、
たとえ思い込みだったり、カン違いだったりしたとしても、


彼らにとってはそれが
「現実」であり「事実」なわけだから・・・。


いくら、

「それは違うよ」
「間違っているよ」
「実際にはそんなことはないよ」って説明しても、

かれらは納得はしないし、理解しないし、
喧嘩になるだけです。



まわりの人間にとっては、
客観的な事実であっても、

本人は「記憶障害」のためにそれが「事実ではない」、と思いこむことが、
認知症の方においては度々起こります。


この原則が理解できないと、


私たち家族は、
いわゆる客観的な「事実」を認知症患者さんに理解させようと
必死になって、むだなエネルギーを使いまくることになります。


でもそれって 

認知症の人にとっては、一生理解納得できないことなので、
混乱は増すばかり、
結果、家族は疲れ果ててしまうんです。


「客観的事実」は、この際、
何の意味もなしません。


「記憶になければその人にとって事実ではない」ということは、
認知症の人だけでなく、普通の人にも当てはまることですよね。


見知らぬ人から「先日貸した金を返せ」と言われても、
記憶になければお金を借りたことは誰も認めないですよね。

これは当然のことです。


でも、実際にお金を借りていたとしても、
交通事故などのために、一時的に記憶を失った人にとっては、
借りたこと自体をを覚えていないのだから、
当然借りたことを認めないし、当然お金を返しませんね。


これは、
本人にとっては当然のことだし、
仕方のないことですね。


そう考えると、
無理もないんですけどね。



食事をしたことを忘れて「食べてない!」とか、
服薬したことを忘れて「薬を飲んでいない!」とか・・
とってもいないのに「お金を盗んだだろう」とか「隠しただろう」とか。

家族にしてみればやりきれないことばかりですが、
認知症患者さんにとっては、それは「事実」なわけで、
本人は大真面目です。


だから家族としては、
本人の主張をいったんぐっと飲みこんで、

「本人の世界ではそれが事実なんだから」と認めたうえで、
本人が安心するような対応をとるのが、正しい神対応といえます。



でも、でもね、
分かってはいても、難しいですよねーーー


お金をとってもいないのに 盗っただろ! と叫ぶ義母に、
「そうだね、とったよ」なんて 
事実と相反することを認めるなんてやっぱりできないし、


事実は一つなんだから、って
思いがどうしても消えないんですよね、ちえひめの場合。


頭ではわかっていても、簡単には行かないのが家族。
一筋縄でいかないのが 嫁しゅうとめ。


学者さんがどんなに立派な分析をして、こうするべき、
こう対応すべき、って論文書いても、

実際にかかわっているのは人間。
難しいですよねーー


介護生活を続けていくと、
仏様見たいに卓越した心境になっちゃうんじゃないかと思うほど、
あるべき姿は程遠く、現実は厳しく、
実際の自分は、どうしようもなく泥臭く未熟で・・(笑)。

人としてまだまだだなーーーと思う
今日この頃です。

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